木材腐朽担子菌の生物機能解明

写真木材腐朽担子菌 (キノコ) は木質バイオマスを効率的に分解することで、地球上の炭素循環に重要な役割を果たしています。中でも、白色腐朽担子菌は難分解性芳香族高分子であるリグニンを単独で無機化できる唯一の生物であり、他生物には存在しないユニークな生物機能を備えています。私たちは、リグニン分解のシステム生物学的研究を通じて、担子菌が有する生物機能の高度理解を目指しています。


木材腐朽担子菌を利用したバイオプロセスデザイン

写真担子菌の優れた物質変換能を高度利用することで、産業分野の発展に繋がると期待されます。バイオマス変換・バイオレメディエーション・ファインケミカル合成など、担子菌を利用した様々な応用研究が世界各国で進められています。私たちは、担子菌が有する有用酵素・遺伝子の発掘と利用を目指し、分子生物学・遺伝子工学・タンパク質工学的研究を進めています。


シトクロムP450機能を活用したバイオプロセスの構築

写真シトクロムP450は活性中心にヘムを有する一原子酸素添加酵素であり、生物界で巨大なスーパーファミリーを構成しています。本酵素群は、多種多様な機能を発現して生物種特徴的な二次代謝機構を支えています。ヒトが薬や異物を代謝したり、植物がきれいな花色を呈したり、担子菌が木質バイオマスを分解できるのもP450機能の多様性によって支えられています。私たちは、真核微生物P450の分子種および機能多様性に着目した研究を行っています。


新規メタボロミクス技術の開発と知識発見

写真生体内には、核酸やタンパク質以外にも糖・有機酸・アミノ酸など多くの低分子量化合物が存在し、その種類は数千から数十万と言われています。これらの物質には、外来ものもありますが、ほとんどは酵素による触媒作用などの代謝活動によって作り出された代謝産物です。代謝産物は、ゲノム情報の最終的表現である形質発現であり、生命現象とは代謝を介した物質的表現と言うこともできます。細胞の働きを包括的に理解しようとするとき、ゲノミクス・トランスクリプトミクス・プロテオミクスに加えて、代謝産物の網羅的解析であるメタボロミクスが極めて重要なのです。どういう条件の時にどのような物質がどのくらい生体内(細胞内)に存在するのかという代謝の動的挙動は、メタボローム情報なしには理解することができません。当研究室では、様々な質量分析装置・技術に改良を加えて新規なメタボロミクス技術の開発を目指しています。

「構造」と「機能」が織りなす生物材料機能学

写真生物の巧みな生存戦略が生み出すバイオ分子の構造的・機能的特異性は、次世代の新材料創出における「良きお手本」です。自然に学ぶモノづくりは、ナノ・バイオ技術の飛躍的な発展と相まって、各方面でマテリアルイノベーション(材料革新)をもたらしています。
 植物系バイオ分子の代表格であるセルロースをはじめとする構造性多糖分子や、その組織形態である繊維状集合体もまた、植物の生合成システムに起因する固有の分子機能や固体構造の階層性・多様性を内包しています。これらは、生命活動にともなってボトムアップ型に積み重なった植物分子の個性に他なりません。 近年のマテリアルエンジニアリングの「要」であるナノ−マイクロ−マクロ構造体の制御には、規則的な分子会合・集合構造化を経て階層的な高次固体構造を形成する分子機能が必須であり、その意味でも植物系多糖分子から学ぶべき点は多いのです。紙組では、生体多糖分子の「構造」が誘導する「機能」に着目した新しい生物材料機能学の開拓を目指しています。
 資源・環境・エネルギー分野における先端的なナノ・バイオ材料研究の流れの中で、紙組が培ってきた糖鎖材料化学と複合材料学をさらに発展させ、現在では以下の研究課題に精力的に取り組んでいます。